住宅ローンを利用中に引っ越しが決まった方へ
もしあなたが住宅ローンを利用中に引っ越しが必要でしたら、以下のような考えをお持ちではありませんか?
- 住宅ローン利用中に引っ越しても良いのだろうか
- 引っ越しする際、住宅ローンにはどのような手続きが必要?
- 住宅ローンを利用中に引っ越しをするとペナルティがあるって本当?
上記のような疑問や不安が出てくると思います。
これらの疑問をクリアにして、具体的な行動をスタートしたいですよね。
そこで今回の記事では、絶対に知っておくべき「住宅ローンと引っ越し」に関する必須情報をご紹介していきます。
この記事を読めば、住宅ローンを利用中に引っ越しをするとどのようなペナルティがあるのかわかります。
記事を最後まで読んだ頃には、心置きなく引っ越しできるだけの知識を得ているはずです。
住宅ローンを利用中に引っ越すと一括返済になるのか
住宅ローンの融資条件は複数ありますが、もっとも基本的な条件が「利用者本人の居住」です。
不動産投資に住宅ローンを利用されないために、利用者が居住することを「条件」として課せられます。
しかし後々に転勤などで引っ越しを迫られ、本人以外の誰かが住むケースはよくあります。
これは冒頭でご紹介した「利用者本人の居住」に違反していますが、銀行が知るとどのような対応になるのでしょうか。
住宅ローンの条件違反だと言われて、「一括返済」を求められてしまうのでしょうか。
住宅ローン利用上のルールにのっとれば、明らかな「条件違反」です。
条件違反に該当する行為をすれば、銀行は一括返済を求める権利を持ちます。
しかし実際には引っ越しによって本人が居住していないことが判明しても、銀行は一括返済を求めてはいません。
このルールはあくまでも原則ということになります。
住宅ローンを利用中に引っ越す場合は「届け」を出そう
ここまでは住宅ローンを利用中に引っ越すと、一括返済になるのかという点についてご紹介しました。
厳密にいうとルール違反ですが、銀行は黙認していると理解していただけたと思います。
住宅ローンを利用中に引っ越した場合、銀行に対する「届け」が重要です。
引っ越しをしたなら、住所が変わっているはず。新住所を住宅ローン利用中の銀行に届け出てください。
先述したように、引っ越したからといって何か罰則が出るわけではありません。
なるべく早く銀行に住所変更の届け出をしましょう。
住所変更の届け出を忘れていると、銀行からのお知らせを受け取れなくなります。
銀行には「不在」として返送されるわけですから、印象が良くありません。
銀行は住宅ローン利用者と連絡が取れないことをもっとも恐れます。
そのまま音信不通が続けば、返済不能のリスクが浮上してくるからです。
銀行を不安にさせて、良いことはありません。
本来なら黙認している引っ越しによるルール違反を指摘される可能性もあります。
住所変更を届け出ないのは、住宅ローン利用中に引っ越しをするよりもリスキーであることを忘れないようにしてください。
銀行に余計な詮索をされないよう、何よりも優先して住所変更の届けを出すようにしましょう。
銀行に住所変更を届け出る方法
住宅ローンを利用中に引っ越す場合、銀行への住所変更が絶対に必要です。
住所変更の方法は銀行別に多少の違いがありますが、基本的には利用者本人から銀行へ変更届を提出するだけです。
変更届は非常にシンプルで、名前・旧住所・新住所を記入します。
引っ越し時に氏名も変わる場合は、別途の提出書類が増えるでしょう。
変更届の入手先は、たいていの銀行はウェブサイトや利用者用の管理システム上で取得できます。
PDFファイルでダウンロード、印刷して記入し、郵送する流れになるはずです。
もし保証人がいる場合も、変更届の提出が必要です。書類は同じものになるでしょう。
また銀行によっては、住民票の提出を求められるので注意してください。
同時に氏名変更する場合は、戸籍謄本も必要になります。
戸籍謄本は取得までに時間がかかる可能性が高いため、要注意です。
さらに引っ越し先が海外になる場合は、会社が発行した証明書や国内連絡先の設定を求められます。
国内連絡先は友人ではなく親族のみが対象になるので、あらかじめ誰にするか決めておいた方が良いでしょう。
住宅ローン利用中に引っ越すと「控除」が使えなくなる
前章では住宅ローン利用中に引っ越しをする場合は、住所変更の「届け」を出すべきとお伝えしました。
銀行に住所変更を届け出る重要性について、お分かりいただけたのではないでしょうか。
次にご紹介するのは、引っ越しによって発生する弊害についてです。
住宅ローンを使ってマイホームを購入した場合に限り、「住宅ローン控除」を利用できます。
住宅ローン控除は、住宅ローン残高の0.7%相当額(※2022年度税制改定時点)を所得税から控除できる強力な控除制度です。
最大で13年間(※2022年度税制改定時点)控除を受け続けられるため、いまだに多くの方が住宅ローン控除の適用を受けています。
しかし残念ながら、引っ越しをする場合は原則として住宅ローン控除の対象外になります。
本人が住んでいないため、住宅ローン控除の適用条件から除外されてしまうのです。
ただし、例外もあります。単身赴任での引っ越しに限り、引き続き住宅ローン控除の適用が受けられます。
本人に代わって家族が自宅に居住してくれれば、控除の条件に当てはまるのです。
もちろん家族全員での引っ越しなら、住宅ローン控除は受けられません。
しかし、控除期間が残っているうちに家に帰ってくれば、残存期間に限り適用を受けられます。
例を出してみましょう。マイホームを住宅ローンで買って5年後に、家族全員で引っ越ししたとします。
この場合、引っ越しした後は住宅ローン控除が対象外です。
しかし、引っ越しして3年後に戻ってきました。その場合、残り2年間は再度適用を受けられます。
なお、一度住宅ローン控除を受けた数年後に再適用する場合は、確定申告が必要になるので要注意です。
他にも細かい要件や追加提出書類が求められるケースがあるので、事前に税務署に確認するのをおすすめします。
引っ越した後のマイホームをどうすべきか
ここまでは引っ越しによって発生する弊害についてご紹介しました。
住宅ローン利用中に引っ越しすると「住宅ローン控除」が対象外になると理解していただけたと思います。
次にご紹介するのは、引っ越した後のマイホームの対応方法についてです。
「引っ越した後の家をどうするか」は、引っ越しが決まった時点で直面する最大の問題だと思います。
賃貸であれば契約解除すれば問題ないですが、住宅ローンで買ったマイホームならそうはいきません。
仮に家族全員で引っ越しするとなれば、家は誰も使用しなくなります。
しかし誰も住んでいない間も、固定資産税や火災保険などの税金や保険料は発生します。
空いたマイホームを無駄にしないために「賃貸」に出す選択肢が考えられます。
場合によっては、マイホームを手放す「売却」を選択するケースもあり得るでしょう。
しかし引っ越し後に帰ってくるかどうか微妙であれば、どうすればいいか悩む方が多いはず。
家は不思議なもので、誰も住んでいないと徐々に痛んでいきます。
使用しない方が家は傷まないと勘違いされがちですが、真実はむしろ逆です。
換気がされずに空気がよどめばクロスは劣化しますし、水廻りの配管にも問題が発生するでしょう。
部屋にはカビが生え、ホコリがたまり、虫まで湧いてきます。
そのまま空き家にしてしまうのは、劣化面だけではなく防犯面でも心配が出てきます。
このように、家は空き家にすると様々な問題を発生します。
なるべくならば、引っ越し前に今後のマイホームについて検討し「対応方法」を決めておくべきでしょう。
しかしマイホームの対応方法は、なかなか難しい問題です。自分だけでは判断できない人もいるはず。
実際に引っ越して空き家にした人は、どんな結論を出しているのでしょうか。
あくまでも筆者の個人的経験則ですが、大抵の人が「売却」「賃貸」のどちらかを選んでいました。
将来的に帰ってくるかどうかわからない人でも「売却」「賃貸」を選んでいます。
10人いれば5人が売却、4人が賃貸といった印象です。
残りの1人は、保守管理の専門業者にマイホームの管理を依頼していました。
管理業者に依頼すればお金こそかかりますが、劣化面・防犯面ともに問題を解決できます。
もし空き家の近くに頼れる知り合いや家族がいるなら、管理・保守をお願いしても良いかもしれません。
「賃貸」「売却」「保守」の選び方
前章では引っ越しした後のマイホームの対応方法をお伝えしました。
基本的には「賃貸」「売却」のどちらかを選択し「保守」するのは少数派だと理解いただけたと思います。
この章では「賃貸」「売却」「保守」の選び方について、もっと深ぼってみましょう。
次項より「賃貸」「売却」「保守」それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
3つの方法のうち、自分の家はどの方法を選択すべきか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
「賃貸」を選ぶメリット・デメリット
現在の住宅ローンは「超・低金利」時代です。毎月の支払額も昔に比べてかなり低くなっています。
そのため、もし「賃貸」を選べば住宅ローンの支払額よりも、家賃収入の方が上回るケースが大半です。
つまり、住宅ローンの支払いを差し引いても「黒字」になるのが、賃貸のメリットなのです。
また将来的に自分が戻ってもう一度住むのが可能なのも、大きなメリットでしょう。
一方デメリットとしては、様々な費用が発生してしまうのが挙げられます。
不動産会社へ管理を依頼する場合、毎月「管理料」が家賃の10%程度発生します。
また不動産会社が借主を見つけた場合「広告料」として家賃の1ヶ月分を支払うでしょう。
さらに水廻りの故障や雨漏りなど、不具合が発生すれば基本的に自費で修理・交換しなければなりません。
住宅ローンの支払いより家賃の方が高いのに、様々な固定費を差し引くと結局赤字のケースは本当に多いです。
賃貸に出す場合、収支の計算を事前にやっておくべきでしょう。
「売却」を選ぶメリット・デメリット
「売却」を選択すればマイホームを手放すため、様々な手間や出費から解放されます。
先述した「賃貸」のように、実行するうえで必要な費用もそこまでありません。
必要なのは、売却が完了した時に発生する「仲介手数料」だけです。
このように後々に引きずることなく対応できるのが「売却」のメリットと言えるでしょう。
一方、デメリットは、住宅ローンの残債より売却額が上回らないといけない点です。
銀行が課したルール上、完済しなければ家は売却できません。
売却するなら、あらかじめ不動産一括査定サービスなどを利用して、ご自身の家がいくらで売れるのか確認しておきましょう。
「保守」を選ぶメリット・デメリット
今までご紹介してきた「売却」「賃貸」には、数々のデメリットがありました。
「保守」は「売却」「賃貸」に比べてリスクをとる方法ではないので、大きなデメリットがありません。
デメリットがないのが「保守」のメリットと言えるでしょう。
ただし、保守するだけなので業者への保守費用はもちろんのこと、他の固定費がかかるのをお忘れなく。
固定資産税が毎年かかりますし、マンションの場合は管理費や修繕積立金も発生します。
このように「保守」は費用がかかるわりに、プラスの要素が得られません。
引っ越し後、すぐに帰ってくる可能性が高くない限り、保守を選ぶ人は少ないのが現実です。
まとめ
以上、住宅ローンの利用中に引越される方に向けて、必要な知識をご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
住宅ローン利用中に引っ越すとペナルティがあるのかなどの、さまざまな知識を理解いただけたと思います。
心置きなく引っ越しできるだけの知識を得ているのではないでしょうか。
実際に引っ越す際は、今回紹介した知識をぜひ参考にしてみてください。